ムーブメントの分解・組立の前にクロノグラフについても少し解説いたします。
まず「クロノグラフとは何か?」ということから。
クロノグラフとは「時刻を知らせることに加え、経過時間を計測する機能を併せ持つ時計」のことを指します。
一言で言うと、「ストップウォッチ機能付きの時計」ですね。
デザイン面でも大きな変化があります。
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 (左)スーパーオーシャン44 (右)スーパーオーシャン・クロノグラフ

ご覧いただいた画像は現行のスーパーオーシャンシリーズです。
左のスーパーオーシャン44はいわゆる“3針”と言われるタイプです。
秒針、分針、時針の3本の針で構成されていることからこのように呼ばれています。
通常のアナログ時計はこのタイプが多いですね。

では右のスーパーオーシャン・クロノグラフを見てみましょう。
文字盤上に3つの目玉のような丸が描かれていますね。
これらはそれぞれ秒針、30分計、12時間計という機能を持っています。
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3針の秒針のように見える針はクロノグラフ秒針と言い、クロノグラフを作動させることで動きだします。
このクロノグラフ秒針は1周で1分を示します。
同じように30分計は1周で30分、12時間計は1周で12時間を計測するということです。
そして、リューズの上下にひとつずつボタンが追加されていることもご確認いただけるでしょうか。
こちらはプッシュボタンといい、上のプッシュボタンでスタート/ストップ、下のプッシュボタンでリセットを行います。
これらの仕組みについてもご説明したいところなのですが、画像と文章だけではお伝えしづらいほど複雑な構造になっていますのでこちらをご参照いただけると幸いです。

STUDIO BREITLING 技術者コラム
クロノグラフってなんですか?
機械式クロノグラフ機構の仕組み
機械式クロノグラフ機構の仕組み2

コラム内の動画が非常にわかりやすいです!

冒頭でも説明した通り、クロノグラフとはストップウォッチ機能付きの時計です。
一般的なアナログ時計については2つのプッシュボタンと3つのインダイヤルが大きな特徴ですね。
もちろん例外もありますが、大体このような構造になっています。
その例外の中で、一番わかり易いものはデジタル時計です。
今回は機械式時計についてのセミナーだった為、話題にはあがりませんでしたが、 ストップウォッチ機能付きのデジタル時計もクロノグラフの仲間になります。
機械式クロノグラフでも2カウンターやモノプッシャー等の例外がございますが、キリがなくなるので割愛させていただきます。


ではいよいよムーブメントの分解・組立に入ります!
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今回使用するのはコチラ。
ポケットウォッチ、つまり懐中時計のムーブメントを使います。
まず、ムーブメントを土台に挟みこんで作業しやすいようにします。
ムーブメントは素手で触ると錆びてしまいますので、作業するときはリューズか土台を持つように行います。
ちなみに作業するときの向きですが、右利きの人はリューズが左になるようにします。
その理由は、左手でリューズや土台を持ち、右手で工具を使う為です。
というわけで私もリューズを左にしていざ分解!
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ドライバーとピンセットを駆使して分解していきます。
右上の灰色の部品が香箱、ムーブメント中央の歯車は2番車ですね。 
最初は緊張していましたが慣れていくと楽しい!  
この調子でどんどん分解していきます。
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先ほどの画像と違い、妙に光輝いている左の部品が香箱。
中央がテンプ、右の小さなT字になっている部品がアンクルです。 
そして……、

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無事に分解完了!
今度は元に戻すため組立作業を行います。
しっかり歯車が組み立てられているか確認しながら作業をしていきます。
パズルのような感覚に近いかもしれませんね!
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出来上がりました!
想像していたよりも簡単でした……が、それもそのはず。
実はこちらのムーブメントはブライトリングが開催しているお子様を対象としたウォッチアカデミーでも使われているとのことです。
ちなみに今まで参加されたお子様たちは全員組み立てられたとのこと。
すごい!
ですので、今回のセミナーは技術的な講習というよりも、実際に自分の目で機械式時計の構造を確認するという意味合いが強かったですね。
前半で機械式時計の仕組みについての講習を受け、それを頭に入れた上での分解・組立はより一層理解を深めやすくしてくれました。


今回のセミナーでわたしが気づいたことはふたつ。 
ひとつは機械式時計の仕組みをわかっているようで、実はその具体的な構造等を全然理解していなかったこと。
もうひとつは、機械式時計って本当に凄い!ということです。
“百聞は一見にしかず”とはよく言ったもので、実際に見ると計算され尽くした構造の凄さを実感できます。
分解しなければ見れないような部分まで見れたことは本当に貴重な経験だと思います。
当店では、ご購入いただいたお客様に時間をかけて使い方を説明しておりますので、その説明の際にもこの経験が活かされると感じています。
そして、 セミナーの最後に行われた合格率ほぼ100%という筆記テストにも無事合格し、これで私もメカニカルクロノグラフマスターです!
バッジ
こちらがその証であるバッジです。
ムーブメントを実際に触ったからこそわかる機械式時計の奥深さを織り交ぜながら、これからも皆様にとっての最高の1本を見つけるお手伝いをさせていただきます。


カサブランカ奈良 / 竹山 一志